PPIとマグネシウム

2026年7月14日に、タケプロン、ネキシウム、タケキャブなどの薬に対して、厚生労働省から添付文書の改訂指示が出されました。「重大な副作用」に、「低マグネシウム血症」を追加するというものです。

これらの薬はPPI、P-CABと総称され、非常によく使われる薬です。薬の一覧は、表のとおりです。

今回は、このうち、PPIと低マグネシウム血症について、その概要をまとめました。

まず、マグネシウムについてですが、これは体内で300以上ともいわれる酵素反応にかかわる、必須ミネラルです。

普通の食事をしていて、不足することはあまりありませんが、例えば糖尿病の人、利尿薬を使っている人、そして今回の通達にあるPPIを長く使っている人では、マグネシウムが不足する可能性があると以前から指摘されていました。

マグネシウムが不足しているかどうかは、症状だけではわかりませんので、不足の可能性があれば血液検査をして確認します。検査会社や研究によって、基準値はやや異なりますが、一般的には血清マグネシウム 1.7ミリグラム パー デシリットルの前後を下回ると、低マグネシウム血症と診断されます。

軽度のマグネシウム不足では、無症状のことも多く、不足の度合いが強まるにつれて、食欲不振、倦怠感、脱力、しびれ、筋肉のけいれん、などの症状が出現します。しかしいずれも非特異的な症状で、症状だけから低マグネシウム血症を診断することはできません。

もし血液中のマグネシウム濃度が、1mg/dL以下(0.41mmol/L以下)の重度の低マグネシウム血症が生じた場合には、半数程度の人に低Ca血症(約56%)が、4割程度の人に低K血症(約40%)が合併し、不整脈やけいれんもそれぞれ5%程度の人に起こるという報告があります。

不整脈の中には、時に致死的な多形性心室頻拍(トルサード・ド・ポワント)につながるQT延長という心電図異常もあり、注意が必要です。

2026年7月28日 | カテゴリー : 医療 | 投稿者 : wpmaster