心の病の中でも「うつ病」は、現代社会において多くの人を悩ませる深刻な問題です。
気分が沈み、喜びを感じられなくなり、時には生きる気力さえ失ってしまう、この「うつ病」の原因は何なのでしょうか?
20世紀半ば、科学者たちはその謎に挑み、ある仮説が提唱されました。
それは、「セロトニン」という脳内物質が、うつ病と深く関わっているのではないかというもので、のちにセロトニン仮説と呼ばれるようになります。
セロトニン仮説とは、セロトニンという神経伝達物質の減少がうつ病の原因であるという考え方です。
まるでミステリー小説のように、この「セロトニン仮説」は、様々な発見と検証を経て、進化を遂げてきました。
物語は1950年代の医療現場で始まります。
当時、高血圧症の治療薬として使用されていた「レセルピン」が、一部の患者にうつ病を引き起こすことが発見されました。
なぜレセルピンがうつ病を引き起こすのだろう。
この不思議な副作用を解明すべく研究者たちは研究を進め、レセルピンが脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといったモノアミン神経伝達物質を枯渇させることを突き止めました。
(レセルピンはセロトニンだけでなく、ノルアドレナリンとドーパミンも枯渇させることから、当初は「うつ病のモノアミン仮説」が唱えられました。)
これがセロトニン仮説の始まりとなったのです。
