ピルと過食症

これまで、低用量ピルは医学的に「体重に影響を与えない、つまり、体重中立的」と言われてきました。
しかし、2026年6月に発表された研究により、「体重そのものは増えにくいが、過食のリスクとなる行動が増える」という新しい知見が示されました。

「太らないけれど、食べたい衝動が強まる」とはどういうことなのか?

ピルの影響を理解するために、まずは自然な生理周期における食欲の変化を見てみましょう。
女性の体は、ホルモンバランスによって食欲が大きく変わります。

排卵前の時期はエストロゲンの働きで食欲が自然と抑えられますが、排卵後の「黄体期」はプロゲステロンも上昇します。
実は、この「エストロゲンとプロゲステロンの両方が高い状態」こそが、最も過食や「情動的摂食」、つまり、空腹ではないのに感情に流されて食べてしまう行動、これが起きやすいハイリスクな時期なのです。

なぜホルモンが食欲に関係するのでしょうか?それは、ホルモンが脳内の「報酬系、別名ご褒美回路」、を調節しているからです。
エストロゲンには本来、食欲を抑える強力な力がありますが、プロゲステロンはそのブレーキを外してしまい、もっと食べたいという信号を強めます。

その結果、脳内のドパミンなどの回路が刺激され、過食の際に好まれるような「甘いもの」や「脂っこいもの」への欲求が、理屈ではなく本能的に強まってしまうのです。

2026年7月13日 | カテゴリー : 医療 | 投稿者 : wpmaster