非定型という言葉は、一般にイメージされる古典的なうつ病像とは違っている、定型的でないという意味で使われます。
アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)では、非定型の特徴を伴ううつ病は以下のように定義されます。
A. 「気分の反応性」がある。
これはとても重要です。 つまり、楽しい出来事があると、それに反応して気分が明るくなるということです。
B. A.に加えて、以下の症状のうちの2つ以上が当てはまります。
体重増加または食欲増加
過眠
鉛様の麻痺(手足が重く、鉛のように感じる)
長期間にわたり対人関係上の拒絶に敏感で、社会的・職業的障害を引き起こしている
C. 同一エピソードの間に「メランコリアの特徴を伴う」または「緊張病の特徴を伴う」の基準を満たさない
以上のような特徴が、抑うつエピソードの大半の日に認められる場合、非定型の特徴を伴ううつ病と診断されます。
アメリカ精神医学会とは別に、コロンビア大学の研究者たちも非定型うつ病の診断基準を示しています。
慢性でマイルド、メランコリックでない単極性のうつ病、気分反応性を伴う、と言うもので、 コロンビア基準ともいわれます。
ここでも 「気分反応性」が重視されます。
楽しいことがあっても楽しく感じない、つまり、「気分反応性の欠如」が、内因性うつ病の本質的な特徴とされているからです。
非定型うつ病の治療については、項をあらためて書く予定です。