(動物実験です)
恐怖刺激に襲われたとき、オスは凍り付いて固まることが多く、メスは急速な動きを示すことが多い。
恐怖のためにおこる急速な動きは「ダーティング」と呼ばれますが、動物実験でメスはオスよりも4倍も多くダーティングを示します。
今まで恐怖の強さはすくみ行動(フリージング:呼吸以外の体動を示さない無動状態)によって測られてきましたが、それだけではメスの恐怖レベルを正確には評価できません。
恐怖に対してすくみ行動が少ないメスが、実際にはダーティングによって強い恐怖を表現しているにもかかわらず、恐怖の程度が弱いと誤って理解される可能性があるからです。
この恐怖に対する反応の性差は、メスがより積極的に恐怖から逃れる方法を学ぶことに繋がります。
実験では、メスがより早く能動的回避を学ぶこと(恐怖刺激を避けることができる行動をとること)が示されています
(臨床で)
例えばPTSDでは、恐怖と結びついた刺激が、危険なもので無く安全ものであるということを暴露療法によって学習していきます。
この学習プロセスによって、恐怖と結びついた記憶の消去が進みます。
ダーティングによって恐怖が表現されるメカニズムを理解していることで、この曝露療法をより成功率の高いものに出来る可能性があります。