運命とは、自由がその中に巻き込まれている超越的必然性のことである。自由と必然が絡みあいながら、運命が進行する。
運命の中で、人は自分自身と向き合い、他のだれのものでもない、自分自身の固有の生を再認識する。
人が運命に願いをかけるとき、力を持つ誰か他のものに懇願するわけではない。運命に対する懇願は、自己自身への回帰であり、接近である。
犯罪者は、自分とは無縁の生とかかわっていると考える。不遜にも破壊をおこなうならば、彼は自分自身の生を破壊するのである。
( Tillich 哲学と運命を読んで)