不安障害、雑記

<分類>
アメリカ精神医学会の診断基準集であるDSM-5によれば、不安障害には以下のものが含まれます。

分離不安症(分離不安障害)
選択性緘黙(場面緘黙症)
限局性恐怖症
社交不安症(社交不安障害)
パニック症(パニック障害)
広場恐怖症
全般性不安症(全般性不安障害)
物質・医薬品誘発性不安症(物質・医薬品誘発性不安障害)
他の医学的疾患による不安症(他の医学的疾患による不安障害)
特定不能の不安症(特定不能の不安障害)

分離不安障害と選択性緘黙は、以前は小児期の障害として分類されていましたが、これらが成人期に至っても持続する事があるため、不安障害のカテゴリーに加えられました。

また、DSM-Ⅳで不安障害の中にあったPTSD(心的外傷後ストレス障害)、ASD(急性ストレス障害)、OCD(強迫性障害)は、DSM-5では不安障害のカテゴリーから外されました。しかし、これらと不安障害は密接に関連しています。

<原因>
不安障害は種々の生物学的、心理社会的因子が相互に作用して発症すると考えられています。ざっくり言えば、遺伝的脆弱性のある個体に、ストレスやトラウマが作用して障害レベルに至ると言うことです。

治療は通常、薬物療法+精神療法で行います。

<扁桃体>
不安障害を引き起こすキーとなる脳内部位です。不安障害の人では、不安をもたらす事柄に対して、扁桃体が健常人よりも強く反応します。

<症状をもたらすもの>
不安障害の症状の出現には、中枢神経系では主にノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミン、ギャバが、末梢では自律神経系、特に交感神経系が種々の症状の出現に関与します。最近の研究では中枢での副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)やオレキシンの関与、セロトニン1A受容体結合の減少(パニック障害)などが報告されています。

<遺伝因子以外には>
小児期の心的外傷(トラウマ)が、その後の不安障害発現に大きな影響を及ぼします。

<パニック発作の引き金になるもの>
体の損傷(けがや手術など)
病気
対人関係のトラブルや喪失
刺激物の摂取(カフェインなど)
公共交通機関の利用や買い物

<不安障害での睡眠サポート>
鎮静的な抗うつ薬で睡眠をサポートします。パキシル、リフレックス(レメロン)、レスリン(デジレル)などです。
ただし、翌日は車の運転を控えるべきです。

≪不安障害でのベンゾジアゼピン>
ソラナックス(コンスタン)が非常に多く用いられていますが、現状ではあまり勧められないと言えます。依存性が強いためです。半減期が短く、リバウンドによる不安と精神依存をもたらす傾向が強いと言えます。ベンゾジアゼピンを用いる場合は、半減期が長く、離脱反応の少ないものを用いるべきです。
ベンゾジアゼピンは不安症状の消失効果が強く、またそのことが患者に対して症状コントロールの自信を与えるので、頓服としての使用は有用です。

<ベンゾジアゼピンの漸減>
SSRIが有効となるまでは、ベンゾジアゼピンの使用は是認されます。ただし、3か月以内には中止できるように最初から計画しておきます。
使用中は車の運転を控えます。
ベンゾジアゼピンで慢性の不安症をコントロールすることも可能であるとは思いますが、いざというときの切り札として、取っておきたいと思います。

<SSRIの治療がうまくいかない社交不安障害>
高力価ベンゾジアゼピン、ベータブロッカー(インデラルなど)、クロニジン(カタプレス)、セディールなどによる治療が考えられますが、高力価ベンゾとベータブロッカーの頓服使用以外はあまり効果がありません。
高力価ベンゾで有効に治療できた場合は、症状消失後半年を目安に慎重なプランを立てて漸減に入ります。

<不安障害で避けるべき食品>
カフェインやエフェドリン(ハーブに含まれる)が不安を悪化させると言われます。

<セディール>
セロトニン1A受容体作動薬。鎮静、認知機能低下、運動機能悪化などが少なく高齢者にも使いやすいのですが、効果のフル発現に 2~3週間かかります。依存性はほとんどありませんが、急性の不安症状に対する効果は弱く、単独治療に向きません。

<抗けいれん薬>
リリカとガバペンは、ギャバ類似の構造を持っていますが、ギャバ受容体に作用することなく抗不安効果を発揮します。
英国は両薬物の乱用による死亡数の増加に鑑み、薬物乱用法のC薬物として指定しました。

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