抗うつ薬が効かなかったとき
うつ症状で受診された方に、抗うつ薬を投与して十分な効果が見られなかったとき。
まずは診断の見直しが必要かも知れません。診断を再考するときに、最も重要な鑑別診断は双極性障害です。近い人からのエピソード聴取が有用です。
抗うつ薬治療を継続することになれば、薬の変更か増強療法を行うかの選択となりますが、スターD試験(STAR*D)の結果からはどちらを選んでも統計的な差が無いことが示されています。
厳密には、増強療法の方が若干よい結果が出ていますが(1.1倍)、統計的な有意差はありませんでした。
どちらを選択するかは、治療を受けられる患者さんに決めてもらうのが良いと考えています。
悲嘆反応
愛する人との別れによる悲嘆反応と抑うつエピソードの違い(DSM-5)。
悲嘆の主要な感情は、空虚感と喪失感です。
一方、抑うつエピソードは、持続的な抑うつ気分と幸福や喜びを期待する能力の喪失です。
悲嘆における不快な気分は、数日から数週間の経過の中で、弱まりながらも波のように繰り返し生じる傾向があります。また、故人についての考えや故人を思い出させるものと関連している傾向があります。
抑うつエピソードにおける抑うつ気分は、より持続的で、特定の事柄に結びついていません。
以下では、フロイトの考えを紹介します。
フロイトによれば、悲嘆(喪、Mourning)も憂うつ(メランコリア、Melancholia)も、どちらも環境の影響によるものであり、自我の抑制と外界への無関心が、両者で等しく認められます。
そのような類似性があるにもかかわらず、両者にはいくつかの根本的な違いがあるとフロイトは言います。
悲嘆は、喪失の回復に必要な健康的で正常なプロセスであり、医学的介入の必要性があるとは見なされません。
しかし、メランコリアは異常かつ病的な状態であり、自殺傾向を内包するが故に、危険な病です。
メランコリアには、悲嘆にはない、いくつかの特徴があります。
まずメランコリアには、明らかな「対象の喪失」がありません。
メランコリアでは、自尊心が失われます。自分は無価値で邪悪な存在として提示されます。もしメランコリアに喪失があるとすれば、それはその人自身の自我の喪失です。
メランコリアの喪失は、悲嘆における意識的な喪失とは対照的に、無意識的な喪失です。
フロイトは、悲嘆とメランコリアの両者に見られる苦痛は、もはや存在しなくなった愛の対象を埋め合わせるための、本能的な修復過程であると説明します。
フロイトは、メランコリアが提示する否定的な自尊心と自己非難から、その人が放つ主観的および心理的発言の意味を理解することが、「治療的」であると言います
メランコリアにおける喪失は、愛する人から軽視されたり批判されたりすることから始まり、拒絶に至ります。
その人は自分自身を置くものがなくなり、自我は外のものとなり、憎しみや批判の対象となる可能性があります。それは、自殺へと繋がります。
誕生日
10月12日生まれ
1950年 – 鹿賀丈史、俳優
10月14日生まれ
1973年 – 堺雅人、俳優
10月15日生まれ
1844年 – フリードリヒ・ニーチェ、哲学者( 1900年没)
高貴な魂の種族は、次のように欲する。すなわち、彼らは何ものをも、無償で持つことを欲しないのだ、特に生は。(ツァラトゥストラ)
生命そのものが本質的に獲得であり、加害であり、他者弱者の圧服であり(善悪の彼岸)
10月18日生まれ
1955年 – 郷ひろみ、歌手、俳優
よろしく哀愁