最近の診察から(2020年11月30日)

アカシジア

座れない(inability to sit)という意味の古代ギリシャ語を語源とするアカシジアは、日本語では「静座不能」と訳されています。

じっとしていられない、動かなければいけないという、内面的な感覚が特徴的で、アカシジアの人は椅子に座ったり立ち上がったり、また部屋の中をあっちに行ったりこっちに来たりと、そわそわ動き回ります

精神科で見られるアカシジアの多くは薬剤誘発性で、原因薬剤として特に抗精神病薬が重要です。

薬剤開始後、3か月以上経って起こるものを遅発性アカシジアと分類します。また、アカシジアの症状が3か月以上続くものを、慢性アカシジア言います。(欧米の文献では症状が6か月以上持続した場合に慢性アカシジアというと記載しているものもあります)

診療上重要なアカシジアに、離脱性アカシジアがあります。薬剤の中止や切り替えの後、6週以内に発生したものとされています。希ならず見られます。

離脱性アカシジアは併用していた抗コリン薬を中止した場合に出ることもありますので、注意が必要です。

アカシジアと類似の症状を呈しながら、内面的な落ち着きのなさを欠いたアカシジア類似の状態を、一部の研究者達は偽アカシジア(pseudoakathisia)と呼んでいます。

偽アカシジアは、疾患に伴う精神運動性の激越であったり、遅発性ジスキネジアの不完全型であったりしますが、症状だけでは鑑別できません。

そのため、アカシジアとよく間違われていますが、じっとしていられないという内面的な感覚はありません。

アカシジアを来す原因薬剤で、最も重要なものは抗精神病薬ですが、抗うつ薬を大量に用いた場合も注意が必要です。

また、ナウゼリン(ドンペリドン)やプリンペラン(メトクロプラミド)などの吐き気止めの薬で出現することもあります。

あまり知られていませんが、リチウムによるアカシジアの報告もあります。

さてアカシジアの治療ですが、まずもって、アカシジア対策としてアカシジア治療薬を予防投与しておくということは避けたいと思います。多剤併用を避けるという基本に則った治療方針です。

アカシジアの症状が出現すれば、次の順に対策を立てていきます。

1.可能であれば、原因と考えられる薬剤の減量

2.可能であれば、原因と考えられる薬剤の変更

3.治療薬の追加投与

アカシジア治療薬として、ベータ遮断薬(プロプラノロールなど)、ベンゾジアゼピン(クロナゼパム、ロラゼパムなど)、中枢性抗コリン薬(ビペリデン、トリヘキシフェニジルなど)の有効性が確認されています。

これらに加えて、クロニジン、アマンタジン、ミルタザピン、シプロヘプタジン、ミアンセリンなども症状緩和的に働くようです。

ただし、以上の治療薬の内、抗コリン薬には多くの副作用があることに注意が必要です。最近の研究では、認知症リスクが高まる可能性も指摘されています。

また、抗コリン薬は遅発性アカシジアには無効です。逆に悪化因子となる場合があります。

これらの治療を進めるとともに、アカシジアの危険因子とされる鉄欠乏性貧血や糖尿病についても、検査しておくことが望ましいと思います。

 


誕生日

11月23日生まれ

1941年 – 栗本慎一郎、評論家

1997年 – 竹内朱莉、アイドル(アンジュルム)
糸島Distance、私を創るのは私、全然起き上がれないSUNDAY

 

11月25日生まれ

1978年 – 椎名林檎、シンガーソングライター
歌舞伎町の女王

1988年 – 和久田麻由子、NHKアナウンサー

 

11月27日生まれ

1894年 – 松下幸之助、実業家、パナソニック創業者( 1989年没)
明るいナショナル

1958年 – 小室哲哉、元TM NETWORK/TMN/globe
Love Train(TMN 1991)
Feel Like dance(globe 1995)
DEPARTURES(globe 1996)
Can’t Stop Fallin’ in Love(globe 1996)
寒い夜だから…(trf 1993)
BOY MEETS GIRL(trf 1994)
恋しさとせつなさと心強さと(篠原涼子 1994)
I’m proud(華原朋美 1996)
Don’t wanna cry(安室奈美恵 1996)
SWEET 19 BLUES(安室奈美恵 1996)
CAN YOU CELEBRATE?(安室奈美恵 1997)
約束の丘(X21 2016)

 

11月29日生まれ

1931年 – 勝新太郎、俳優( 1997年没)
悪名

1948年 – 舛添要一、元参議院議員、元東京都知事

1953年 – 小林麻美、歌手、女優、モデル
雨音はショパンの調べ

 

11月30日生まれ

1874年 – ウィンストン・チャーチル、イギリス首相( 1965年没)

1965年 – 秋篠宮文仁親王、皇嗣、上皇明仁の次男

2020年11月30日 | カテゴリー : 医療, 副作用 | 投稿者 : wpmaster