非定型うつ病の治療

対人関係の喪失や拒絶に極端に敏感であり、過食と過眠を特徴とする非定型うつ病ですが、当初は通常の抗うつ薬が効きにくく、モノアミン酸化酵素阻害薬がよく効くうつ病という認識がありました。

その後、抗うつ薬の主流が三環系からSSRIに変わり、また、副作用の点からモノアミン酸化酵素阻害薬が殆ど使われなくなったという時代背景を受けて、非定型うつ病の治療もSSRIで始めることが多くなりました。

精神科の代表的教科書である「カプラン臨床精神医学テキスト(第3版)」では、モノアミン酸化酵素阻害薬に並べて、SSRIとブプロピオンが有効であると記載されています。

ただし、モノアミン酸化酵素阻害薬は、眠気やめまい、不眠に加えチーズや赤ワインの摂取で急激かつ危険な(時に死に至る)血圧上昇が起こるため、一般臨床では殆ど使われません。

また、モノアミン酸化酵素阻害薬とSSRIは、同時に服用できません。(併用禁忌)

投薬治療以外では、認知行動療法と有酸素運動の有効性を示す研究があります。

非定型うつ病の治療経過を見ていく上で、パーソナリティ障害と双極性障害にも注意が必要です。

脆弱なパーソナリティを持つ人がストレスにさらされた時に、非定型うつ病の特徴をもつうつ状態が持続することから、パーソナリティ障害と非定型うつ病の関連性が指摘されています。

双極性障害のうつもまた、非定型うつ病類似の経過を取ることがあります。
さらには、軽い躁状態を示す双極性障害が、非定型うつ病と鑑別困難な場合があることにも留意が必要です。

2019年7月5日 | カテゴリー : うつ病 | 投稿者 : wpmaster