特定の対象や状況に対する恐れを恐怖と呼び、外的な対象のない恐れを不安と呼びます。
不安と恐怖は、生物学的な観点からも、行動学的な観点からも区別が可能です。
恐怖は、特定の(脅威の)状況で発生します。持続は短く、恐怖を感じるその時点に焦点があたります。
恐怖に襲われた人は、その脅威状況から逃避したり、脅威状況を回避したりしようとします。
一方不安は、不確実性に反応して生じる持続的な過覚醒を特徴としています。
恐怖がその時点に焦点が当たるのに対して、不安は未来に焦点が当たります。
不安と恐怖はすべての人が経験する感情ですが、過度に病的であったり、不適切に引き起こされたりする場合には、種々の不安障害を形成します。
たとえば、全般性不安障害 (GAD) と強迫性障害 (OCD) は、過度の不安によって特徴づけられます。
また、PTSDや社会不安障害は、過剰かつ不適切な恐怖によって特徴づけられます。
(参考)
特性不安と状態不安(Trait anxiety、State anxiety)
特性不安とは、ある状況に対して不安な反応を示すという、その人の素因によって引き起こされる不安です。
状態不安とは、ストレスフルな状況によって引き起こされる不安で、反応性、適応性のものです。