公衆トイレが使えないとか視線が怖いとか

注射が怖い、クモが怖い、人の視線が怖い、など特定の状況や対象物に対する恐怖を抱く人は少なくありません。

DSM-5では、このような恐怖が以下の基準を満たすときに限局性恐怖症と診断します。
(診断基準は簡略してまとめています)

特定の対象または状況に対する顕著な恐怖と不安
その対象や状況は、ほとんどいつも即時に恐怖や不安を誘発する
その対象や状況は、避けられるか、強い恐怖や不安を感じながら堪え忍ばれる
社会文化的状況からみて、その恐怖や不安は、実際の危険性に釣り合わない
その恐怖や不安、また回避は持続的で、典型的には6ヵ月以上続いている
その恐怖や不安、または回避によって苦痛が生じている、または社会的、職業的に機能障害を起こしている
その恐怖や不安、または回避は、他の精神疾患ではうまく説明できない

治療には暴露療法が有効です。
なぜ不安を抱くようになったか、その原因を追究することには、あまり意味がありません。

SSRIとベンゾジアゼピンを中心とした薬物療法を併用する場合があります。

暴露療法により、恐怖対象物に対する自分自身の反応を変化させていきます。

緩やかで、段階的な暴露を繰り返すことで、恐怖対象物に対する考え・感情・感覚を自分自身がコントロールできるように訓練していきます。

例えば「クモが怖い」を暴露療法で治療する場合、次のようなステップを踏みます。

1.クモを想像する
2.クモの絵を見る
3.死んだクモを遠くから見る
4.治療者が手に取った死んだクモを近くで見る
5.死んだクモを自分の手に取ってみる
6.昆虫ケースに入った生きたクモを遠くから見る
7.治療者が手に取った生きたクモを近くで見る
8.生きたクモを自分の手に取ってみる

暴露療法の元となった系統的脱感作療法は次の3ステップからなります。(ウォルピ:Joseph Wolpe)

1.筋弛緩法のトレーニング
2.恐怖の階層化
3.階層化された恐怖の各階層をイメージし、リラックスできる(筋弛緩できる)ようにトレーニングしていく

2019年7月26日 | カテゴリー : 不安障害 | 投稿者 : wpmaster