片目の母

私の母の目は一つ

彼女は恥ずかしい人

彼女は家族を支えるために、施設で働いている

利用者のために食事を作ったりする

まだ小学生だった頃、彼女が学校にやってきた

私に会って、言葉を交わすためだった

すごく恥ずかしかった、一体私に何がしたいのか

私は母を無視した、怒りのまなざしを彼女に向けて、走って逃げた

次の日、友達の一人に言われた

「え~~~、おまえの母さん片目なんだ」

死にたいと思った

そして、母にこの世から消えて欲しいとも思った

ある日、母に面と向かって言った

「母さんは僕が笑いものになるのを黙って見ているの?
何で死なないの?」

母は何も答えなかった

私は、自分が言ったことの意味を、全く考えなかった
心が怒りで満ちていたから

母の気持ちを考える余裕はなかった

私は家を出たかった

母とは何をするのも嫌で仕方なかった

私は懸命に勉強した

都会に出て、有名な大学で勉強する機会を得た

その後は順調だった

結婚し、家を買い、子どももできた

とても幸せだった

人生にも、子どもにも、大きな喜びを感じていた

そんなある日、母が私を訪ねてきた

何年も連絡が無く、孫に会うこともしなかった母だった

母が入口のドアに現れた時、子ども達が彼女を見て笑った

私は母に向かって大きな声を出してしまった

招待もしてないのに、なんで来たのかと

よくも図々しく来れたものだ、子どもを怖がらせたいのか

すぐにここから出て行ってくれ

母は静かに答えた

「間違えたようです、ごめんなさい」

「住所違いのようです」

そう言って彼女は視界から消えた

それからかなり経ったある日、同窓会の案内が届いた

妻には、仕事で出張すると嘘をついた

同窓会が終わった後、近所に住んでる友達から母が死んだと聞かされた

一粒の涙も出なかった

母から頼まれたと、一通の手紙を彼から手渡された


~~

最愛の息子へ

私は毎日、いつも、あなたのことを考えています

突然あなたの家を訪れて、子ども達を怖がらせて、ごめんなさい

あなたが同窓会に出るために戻ってくると聞いて、とてもうれしかった

でも、病床にあって、私はあなたに会えないと思います

小さい時からずっと、あなたに恥ずかしい思いをさせて、ごめんなさい

覚えてないと思いますが、あなたがずっと小さかった頃、事故に遭って、あなたは目を失ったんです

私は母として、小さなあなたが片目で生きていくのを見てられませんでした

それで、私は自分の目をあなたにあげたのです

私のあげた目で、あなたが私に代わって世界のすべてを見ることができる

それは、とても誇らしい気持ちでした

私のあなたへの愛は、いつまでも変わりません

あなたの母より

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です