ハイリー センシティブ パーソン HSP (2)

ハイリー センシティブ パーソン (HSP ) の続きです

今回はHSPを特徴付ける4つの基本特性と、HSPチェックリストを紹介します。

HSPは疾患、異常、障害などではありません。環境に適合するための生物の生存戦略であり、遺伝的な特性です。治療を要するものではありません。

HSPの方に必要なのは自分の遺伝的特徴について理解し、自分にふさわしい環境を選択し、自分にあった日々の生活バランスを形成することです。

HSP特性の理解に基づいて、今までの自分の経験を再定義し、自分の経験は正常な反応であることを知ることは重要です。


すべてのHSPが共通して持つとされる4つの基本特性

処理の深さ(Depth of Processing)

HSPの人は、脳の島皮質や下前頭回という部分の活動が活発であることが知られています。この部位は情報処理、意識、共感などに関連しており、ここの活動性亢進は知覚を高め、情報のより深い処理をもたらします。

情報の深い処理とは、与えられた情報を、過去の経験や周囲の類似したものと関連づけたり比較したりして、首尾一貫した流れの中で処理するということです。

このような深い処理特性は、HSPの人間関係にも現れます。HSPは深い会話を大切にします。人との交流に意味を求めます。

また、人間関係以外の事柄についても、HSPは、表面的な事実に内包された深い意味を求め、探ります。

HSPが無意識に決断するとき、優れた直感力を発揮します。HSPが意識的に決断するとき、すべてのオプションを非常に慎重に考えるため、決断は遅くなりがちです。しかし、時間がかかっても良い決断をします。

 

過剰な刺激Over Stimulation

過剰な刺激にさらされたときに、普通の人は無意識かつ自動的に刺激の遮断を行ないます。しかし、HSPは、多くの刺激を受け入れる神経系を持っています。

多くの刺激を受け入れることで、より詳細に刺激について知り、より認知的に刺激を処理することができます。

刺激はすべての感覚チャンネルから入ってきます。視覚、聴覚、嗅覚、振動覚、触覚です。

このようにして入ってくる大量の情報を処理できない時、HSPは過剰な刺激に負ける、燃え尽きるという経験をします。

過剰な刺激に圧倒された経験を持つHSPは、自分自身を守るために、たとえ楽しいと感じる活動であっても、それに参加しないことがあります。

また、過剰な刺激を受け入れることで、HSPは他の人よりも多くの睡眠が必要であったり、落ち着くまでにより長い時間が必要であったりします。

 

感情的反応と共感性Emotional Responsiveness and Empathy

HSPは、素直に喜び、感謝し、感涙します。
また、滑稽なことや皮肉にも簡単に笑います。
他人の感情に容易に反応します。
暴力的なテレビ番組や映画・不公平・いじめなどに人一倍苦悩します。

有名な実験があります。ほとんどの人が強い反応を示す写真を使った実験です。ネガティブな写真として、「蛇」「クモ」「ゴミ」など。ポジティブな写真として「子犬」「誕生日ケーキ」など。

実験でHSPは、どちらの写真に対しても普通の人より強い感情反応を示し、反応のスピードも普通の人より速いものでした。また、良好な子供時代を過ごしたHSPほど、この傾向が当てはまりました。

ネガティブな写真とポジティブな写真の比較では、HSPはポジティブな写真により強い反応を示しました。

HSPのこのような反応は、「ミラーニューロンシステム」の働きによって一部説明されています。ミラーニューロンシステムは、模倣を通じて学習する際に働くシステムで、共感性にも関与し、他者の行動を理解するうえで極めて重要な働きを担います。

HSPが他人の意図や自分の気持ちを知るのに、このシステムが役立っていると想定されています。これは、愛する人の幸せそうな顔を見ているときに最も当てはまり、愛する人や他人の悲しい顔を見ているときにも当てはまります。

HSPがそうでない人よりも、写真に対して大きな感情反応を示すのは、HSPが単に感情的である ということではなく、普通の人よりも精緻な感情処理を行うからだと考えられます。

 

微妙な違いに対する敏感さSensitive to Subtleties

HSPは人一倍、微妙な変化に気づきます。
その機微への気づきの多くは、思いやりに根差しています。

HSPは、他の人が疲れていることに気づきます。
短時間居ただけの部屋の内装、小さな花や動物、動物の足跡などに気づきます。
時を刻む時計の音や水の滴る音、微妙な味や匂いに気づきます。

このような機微への気づきは、動物界では生存に直結します。


上記の4つの特性を、英語の頭文字をとってD.O.E.S. モデルと呼ぶことがあります。

以下に、HSPのチェックリストを示します。エレイン・アロンの27項目版(オリジナル)と、その日本版として公表された19項目版です。

 

エレイン・N・アロンによる27項目のチェックリスト(1996年)

1. 強い感覚刺激に簡単に圧倒される。
2. 自分の環境の微細な部分に気付いていると思う。
3. 他人の気分は、自分に影響を与える。
4. 痛みに非常に敏感である。
5. 忙しい日々の中で、ベッドや暗い部屋、あるいは刺激からの解放とプライバシーを持つことができる場所に引きこもる必要があると感じる。
6. カフェインに敏感に反応する。
7. 明るい光、強い匂い、粗い布、サイレンなどに簡単に圧倒される。
8. 豊かで複雑な内面を持っている。
9. 大きな音には不快感を覚える。
10. 芸術や音楽に深く感動する。
11. 時々神経が疲れ果て、一人っきりになる必要がある。
12. 自分は真面目な人間である。
13. びっくりしやすい。
14. 短時間にやることが多いと取り乱してしまう。
15. 他の人が環境を不快と感じているとき、何が不快でどうすればいいのか、察知できることが多い(照明を変えたり、座席を変えたり)。
16. 一度に多くのことを頼まれるとイライラする。
17. ミスや忘れ物をしないように気をつけている。
18. 暴力的な映画やテレビ番組は避けるようにしている。
19. 周りでいろいろなことが起こると、不快な気持ちになりやすい。
20. お腹が空いていると強い反応を起こし、集中力や気分が乱れる。
21. 生活の変化に動揺する。
22. 繊細な、あるいは上質な香り、味、音、芸術作品に気付いたり、楽しんだりする。
23. 一度にたくさんのことが起こることを不愉快に感じる。
24. 混乱した状況に陥らないように、生活を調整することを優先している。
25. 大きな音や混沌としたシーンなど、激しい刺激は苦しく感じる。
26. 競い合ったり、見られたりすると、緊張したり、震えたりして、いつもの力が発揮できない。
27. 子供の頃、両親や先生から敏感な人、内気な人と見られていたと思う。

判定:14項目当てはまればHSPの可能性が高いとされています。

( If you answered more than fourteen of the questions as true of yourself, you are probably highly sensitive.)


Highly Sensitive Person Scale日本版(HSPS-J19)髙橋亜希 中京大学大学院心理学研究科

1 強い刺激に圧倒されやすいですか?
3 他人の気分に左右されますか?
4 痛みに敏感になることがありますか?
5 忙しい日々が続くと,ベッドや暗くした部屋などプライバシーが得られ,刺激の少ない場所に逃げ込みたくなりますか?
7 明るい光や強いにおい,ごわごわした布地,近くのサイレンの音などにゾッとしやすいですか?
8 豊かな内面生活を送っていますか?
9 大きな音で不快になりますか?
10 美術や音楽に深く感動しますか?
12 自分に対して誠実ですか?
13 ビクッとしやすいですか?
14 短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?
16 一度にたくさんのことを頼まれるとイライラしますか?
19 いろいろなことが自分の周りで起きていると,不快な気分が高まりますか?
21 生活に変化があると混乱しますか?
22 微細で繊細な香り・味・音・芸術作品などを好みますか?
23 一度にたくさんの事が起こっていると不快になりますか?
25 大きな音や雑然とした光景のような強い刺激がわずらわしいですか?
26 競争場面や見られていると,緊張や同様のあまり,いつもの力を発揮できなくなりますか?
27 子供の頃,親や教師はあなたのことを「敏感だ」とか「内気だ」と見ていましたか?

 

2020年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : wpmaster