他人が気づかないような、外見上の欠点が気になる。そのことが気になって、考えずにはいられない。時には、何時間も鏡の前で時間を費やする。
そのような症状は醜形恐怖症(身体醜形障害、BDD)かも知れません。
BDDの人は、欠点を隠すために、髪をとかしたり、化粧をしたり、服を選んだりすることに大変な努力を重ねます。
もし自分の外見がこうだったら、どれだけ幸せだろうと想像します。美容整形を希望することすらあります。
しかし万一、美容整形で自分の欠点を修復したとしても、満足感や苦痛の軽減は一時的で、再び別の不安に苛まれて悩むことも少なくありません。
DSM5の診断基準は次の通りです。
BDDの治療
SSRIがBDD 薬物治療の第一選択薬です。他の強迫関連障害群と同様に、強迫性障害と同等の用量を使用する必要があります。
中等度以上のBDDでは、薬物療法と曝露反応妨害法の組み合わせで治療します。
BDDに用いる曝露反応妨害法は、強迫性障害で用いる曝露反応妨害法に似ていますが全く同じではありません。
BDDで妄想が認められても精神病ではありません。
つまり、妄想を有する場合であっても抗精神病薬は有効ではありません。むしろ、SSRIやクロミプラミンが、BDDの妄想に対して有効に作用します。
SSRIについては、他の強迫関連障害群と同様、種類の違いによる反応の差はありません。患者の特性と副作用の出現がSSRIを選ぶ際の基準になります。
増強療法として、ブスピロンが有効であったとする研究がありますが、ブスピロンは本邦未承認です。
SSRIで有効性が確認できない場合には、クロミプラミン(アナフラニール)を用います。
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診断のための簡単な問診を末尾に載せています(BDDQ)。