更年期障害のうつ症状によく用いられるお薬に、パキシル(パロキセチン)があります。
適量のパキシルはうつ症状だけでなく、更年期の血管運動症状の頻度を効果的に減少させます。
米国FDAは更年期のホットフラッシュの治療薬として、数ある抗うつ薬の中で唯一パキシルのみを承認しています。
また、当院に婦人科経由で受診される方の多くも、パキシルを処方されています。
では、パキシル以外の抗うつ薬は更年期障害に効果がないのかというと、そうでもありません。多くの研究が、パキシル以外の抗うつ薬もパキシル同様に、うつ症状や血管運動症状に有効であることを示しています。
レクサプロやイフェクサーは、経験的にも更年期障害に有効性が高いと感じます。
そして、このブログで紹介していますが、精神科的にはパキシルは使いにくい薬です。
肥満傾向のある人にも、やはりパキシルは使いにくい。BMIが高い人には、避けたい薬の第一番目にあがります。
もし、肥満がある人であればパキシルは避けて、サインバルタやトリンテリックスを使いたいと思います。
更年期のうつ症状に抗うつ薬は効果的ですが、薬物療法以外も非常に重要です。特に、細かい不安に対する会話療法が症状緩和に大きく役立ちます。
更年期障害のホルモン療法については、重要な治療法であることは間違いないのですが、できるだけ低用量、できるだけ短期間の使用にとどめることが望まれます。